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日本で受ける胃スリーブ手術(減量手術):費用・流れ・病院の完全ガイド

  • 執筆者の写真: Rose
    Rose
  • 6月23日
  • 読了時間: 20分
gastric sleeve weight loss surgery in japan, graphic of cut stomach organ

目次


手術の始め方(手術の6ヶ月以上前)



手術直前・手術当日・術後の入院生活ガイド





はじめに


日本で受ける胃スリーブ手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)を通じて、より健康的な未来を目指す私の体験をお伝えします。


日本の健康保険で手術が適用されることを知り、この大きな決断をしました。本記事では、手術の適応条件の理解から病院探し、手術準備、術後の生活まで、体験のすべての過程を詳しく記録しています。


胃スリーブ手術は、胃の大部分を切除して食事量を制限する減量手術の一つです。一度に摂取できる食べ物や飲み物の量が大幅に減るため、長期的な体重減少をサポートします。全身麻酔を伴う大きな手術であり、回復期間も必要です。手術後の生活習慣の改善が非常に重要で、適切なケアをしなければ胃が伸びて元の大きさに戻ってしまう可能性があります。


日本で減量手術を検討されている方、または手術の流れに興味がある方にとって、この実体験が次の一歩を踏み出す参考となれば幸いです。




日本でスリーブ状胃切除術(減量手術)を受けるための条件


日本では、スリーブ状胃切除術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)は、特定の医療基準を満たすことで健康保険の適用を受けることができます。対象かどうかは、BMI(体格指数)や関連する持病によって決まります。


BMIが35以上の場合

以下すべての条件を満たす必要があります:

  • 以下のいずれか1つ以上の疾患を持っていること:糖尿病、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎を含む)

  • 術前に6か月以上の内科的治療を行っていること


BMIが32〜34.9の場合

以下すべての条件を満たす必要があります:

  • 以下のいずれか2つ以上の疾患を持っていること: 糖尿病(HbA1cが8.0%以上)、高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、非アルコール性脂肪肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎を含む)

  • 術前に6か月以上の内科的治療を行っていること



「6か月間の内科的治療」について理解しておくべきこと

健康保険を使ってスリーブ状胃切除術を受けるには、手術前に少なくとも6か月間の継続的な内科的治療を受ける必要があります。この期間は、手術の必要性を医学的に確認し、患者が長期的な生活習慣の改善に取り組む意思があることを示すために設けられています。


注意すべき点として、この6か月間は、「ダイエットを始めた日」からカウントされるわけではありません。医師(外科医または肥満治療の専門医)によって手術候補者として正式に受け入れられた日からカウントが始まります。


その前に行っていた健康診断、栄養指導、投薬などの努力は、正式な6か月間には含まれない場合があります。ただし、これらの取り組みは無駄ではありません。手術の候補として真剣に健康を改善しようとしている姿勢を示すことができ、医師からの信頼や評価につながります。


正式に受け入れられた後は、定期的な診察を受けながら、手術に向けて準備を進めます。多くの場合、血液検査、身体測定、栄養指導、心理評価、必要に応じて睡眠検査(ポリソムノグラフィー)などが行われます。この期間は、身体的・精神的に手術に備える大切なプロセスです。




日本での胃スリーブ手術の費用


日本の公的医療保険の適用条件を満たしている場合、スリーブ状胃切除術にかかる自己負担額はおおよそ9万円〜15万円程度になることが一般的です。これは手術費用に加え、検査や入院などの基本的な医療費を含んだ金額です。


ただし、この金額には医療費以外のコストは含まれていません。以下のような追加費用が発生する場合があります:


  • 指定の食事療法用製品は、病院によって特定のブランドのみが許可されており、自己負担での購入が必要な場合があります。

     

  • 術前の入院期間中の食事代医療保険適用外で

 

  • 病院内でのオプション品パジャマ・タオル・洗面用具のレンタル、個室使用料などは追加料金となることが一般的です。


これらの費用も含めて、事前に病院へ確認し、トータルでの出費を把握しておくことが大切です。



重要:限度額適用認定証を申請しよう

手術の入院前に、**お住まいの市区町村役所で「限度額適用認定証」**を申請してください。

この認定証があると、月ごとの医療費自己負担額に上限が設けられ、所得に応じた負担のみで済みます。事前に提示しておくことで、病院の窓口での支払いも上限額のみになります。 限度額適用認定証でカバーされるもの:

  • 手術費用

  • 入院中の医療検査・薬・診察費用


限度額適用認定証でカバーされないもの(自己負担):

  • 個室を選んだ場合の差額ベッド代

  • 入院セット(パジャマ、洗面用具など)

  • 食事代

  • テレビ・冷蔵庫・Wi-Fi利用料

  • 指定の食事療法商品



医療費を抑えるためのポイント

多くの病院では「快適さを追求したオプションサービス」が用意されていますが、事前に準備して持参することで大幅に節約できます。以下によくある追加費用と、その節約方法を紹介します。


【追加費用】個室

個室は1泊あたり**約5,000円〜**で、トイレ付きの部屋はさらに高額になります。

  • 節約のポイント:

    無料の**大部屋(4〜6人部屋)**を選びましょう。カーテンで仕切られ、最低限のプライバシーは確保されます。性別ごとに部屋が分けられています。


【追加費用】テレビ・Wi-Fi・冷蔵庫

病院によっては、テレビ・Wi-Fi・小型冷蔵庫のセットをレンタルすることができます。

  • 節約のポイント:

    レンタルを断り、自分の娯楽グッズを持参しましょう。事前にスマートフォンやタブレットに動画や映画をダウンロードしておいたり、モバイル通信・ポケットWi-Fiを活用したりすると便利です。本やスケッチブック、日記帳などもおすすめです。


【追加費用】病院パジャマ

毎日清潔な病院パジャマが提供されますが、サイズが限られていることもあります。

  • 節約のポイント:

    以下のような動きやすく、着替えやすい衣類を持参しましょう:

    • ゆったりしたTシャツ

    • ゴムのウエストパンツ

    • 下着・靴下

    • 軽い運動に適した服(病院によっては毎日の運動が必要)

また、病院のコインランドリー用に小銭と洗剤も用意すると安心です。

【追加費用】病院用トイレタリー(アメニティ)

シャンプー・リンス・石鹸・歯ブラシなどのアメニティ類は有料です。

  • 節約のポイント:

    普段使っているトイレタリーを自宅から持参しましょう。




日本で減量手術(胃スリーブ手術)を受けられる病院の探し方


日本では胃スリーブ手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)はまだ比較的新しい手術で、対応している病院は限られています。


多くの医療関係者もこの手術について詳しくない場合があり、減量手術を相談しても紹介先が分からないこともあります。


ただし、一部の病院では初診でも紹介状なしで自費診療として受け付けているケースもあります。



日本で胃スリーブ手術を行っている主な病院一覧


愛媛県

  • 愛媛大学医学部附属病院


福岡県

  • 福岡大学病院

  • 国立病院機構 九州医療センター


北海道

  • 旭川赤十字病院

  • 北海道大学病院


神奈川県

  • 横浜市立大学附属市民総合医療センター


新潟県

  • 新潟市民病院


大阪府

  • 南大阪病院

  • 大阪大学医学部附属病院


東京都

  • 順天堂大学医学部附属順天堂医院


北海道大学病院

手術前6ヶ月間の検査・診察の流れ

日本の保険適用に必要な術前6ヶ月の観察期間中は、複数の診療科での予約が必要です。消化器内科、栄養科、内科の診察や、血液検査、甲状腺機能検査、インスリン値検査、胃カメラ検査などが含まれます。受診する検査や診療科は個人の健康状態によって異なり、費用も各診察ごとに異なります。費用は手術費用に含まれておらず、その都度支払います。



予約1:2024年6月18日 – 初回外来(初診)

初回の外来は短時間で終わりました。身長・体重・既往歴の確認と手術の流れの説明がありました。検査は行いませんでした。高コレステロールの診断と服薬中であることを口頭で伝え、BMIを基に医師から保険適用のための6ヶ月間の術前観察を始める許可が出ました。

費用:約¥800



予約2:2024年7月25日 – 血液検査・各種検査

この日は甲状腺機能検査や糖尿病のスクリーニングのためのインスリン検査など、複数の血液検査を受けました。

費用:約¥2000


予約3:2024年8月28日 – 検査結果説明・栄養士相談

午前中に消化器内科チームと検査結果を確認し、高コレステロール以外の新たな問題はありませんでした。

午後は栄養士と面談し、体組成測定を行いました。私の体重の約50%が体脂肪と判明し、1日の摂取目標は1800キロカロリー、タンパク質80gに設定されました。詳細な食事プランはなく、基本的な栄養ホイールの画像のみ提示されました。

また、術前術後の流動食段階では、病院指定の特定ブランドの食事療法用商品を購入する必要があり、保険適用外のため14日分で約¥25,000の自己負担となることも説明されました。

費用:約¥2000



予約4:2024年9月17日 – 胃カメラ検査(内視鏡検査

減量手術前の必須検査で、胃や食道の異常を確認します。病院によっては鎮静剤を使えますが、私は鎮静なしを選択し非常に辛い経験でした。喉に麻酔ジェルを塗り、医師が内視鏡を挿入。痛みはないものの、嘔吐反射や息を整えるのに集中が必要なほど苦しかったです。検査は約10分で終了。異常はなく手術に進める許可を得ました。鎮静を選べる場合は必ず利用することをおすすめします。

費用:約¥4300



予約5:2024年10月2日 – 栄養士再相談

再度体組成を測定し、食事の調整点を話し合いました。カロリー計算ではなく、食べたものを写真に撮る「視覚的な食事記録」を推奨されました。私もすぐにInstagramで食事の写真日記を始め、効果を感じています。

費用:約¥900



予約6:2024年12月 – 手術日決定(外科医)

最終診察で、すべての検査結果を踏まえ医師から手術適応の確認がありました。この回で正式に手術日を決定しました。



手術の2〜3週間前:術前入院の流れ

手術の約3週間前から、2週間の術前入院が始まりました。入院中は、管理された食事を続けながら、毎日さまざまな検査を受けました。


この術前入院の目的は、持病などの健康状態を安定させ、手術に向けて体の準備を整えることです。医師や看護師が状態を詳しく観察し、万全な体調で手術に臨めるようサポートしてくれます。


gastric sleeve surgery schedule in japan

入院スケジュールについて

病院ごとに異なるルールがありますが、以下は私が北海道大学病院で実際に経験したスケジュールです。


  • 手術の約2週間前:術前入院開始 検査や栄養管理のために、約2週間入院します。食事は病院指定の管理食になります。

  • 手術の約1週間前:一時退院し、自宅で液体食 病院での検査が一段落したら、一時的に退院し、自宅で液体食の食事制限を続けます。

  • 手術の約3日前:再入院 手術に向けた最終調整のために、手術の3日前に再び入院します。

  • 手術当日:腹腔鏡下スリーブ状胃切除術を実施 全身麻酔で手術が行われます。

  • 術後:1週間程度の入院で経過観察と回復 術後は経過観察と回復のため、約1週間入院します。



手術前入院中の1日のスケジュール(例)

  • 6:00 起床・採血(ある日)※朝の検査がない日は8:00まで寝てもOK

  • 7:00 朝食前の血糖値チェック&毎日の体重測定(必須)

  • 8:00 朝食

  • 12:00 昼食

  • 15:00 リハビリ(軽い運動)※基本は有酸素運動(エアロバイクなど)をスタッフの指導のもと実施

  • 18:00 夕食

  • 19:00 入浴(要予約・シャワー室は共用のため時間指定)

  • 21:00 消灯・静かな時間※就寝は自由。部屋が暗くなるだけで、イヤホンで動画を観たり、共用スペースに行くのはOK


2週間の入院期間中は、ほとんど毎日1件以上の診察や検査がありました。これらは主に午前9時〜11時、または午後3時〜5時の間に行われます。毎朝、看護師さんがその日のスケジュールを配ってくれるので、予定が一目でわかります。他の診療科に移動する必要がある場合は、看護師さんが付き添ってくれたり、行き方を丁寧に説明してくれたりするので安心です。

予定がない時間帯は、病室でゆっくり休んだり、病院内の共用スペースを散歩したりして過ごすことができます。病棟全体が落ち着いた雰囲気で、スケジュールにある程度の規則性がありながらも、自分のペースで過ごせる柔軟さがあるのが印象的でした。


夜21時になると病室の照明が落とされ、消灯時間となりますが、必ずしもすぐに寝る必要はありません。共有室では静かになりますが、イヤホンを使って音楽を聴いたり、スマホで動画を観たり、ゲームをしたりしても構いません。共用スペースに移動して過ごすこともできます。私はよく、音楽を聴きながら病院内をゆっくり歩き、1日の終わりに気持ちをリセットする時間として活用していました。



術前の入院中に受ける検査一覧


毎日の検査(3月3日〜14日)

  • 食前30分の血糖値測定

  • 毎朝の血圧・血中酸素濃度の測定


3月3日

  • レントゲン検査(膝、脊椎、胸部、腹部)

  • 心電図検査(CVRR含む)

  • 体組成測定(入院時の基準値)

  • CTスキャン

  • CAVI / ABI(動脈硬化・血管年齢検査)


3月4日

  • 空腹時採血(コレステロール・血糖値など)

  • 血糖値の一日モニタリング(計8回+深夜0時+午前3時)

  • 外来診察フォローアップ


3月5日

  • 整形外科診察(脊椎:CT結果の確認)

  • 神経内科診察

  • リハビリテーション科診察(運動計画の作成)


3月6日

  • 骨密度測定

  • 精神科診察

  • 腰椎レントゲン


3月7日

  • 肺機能検査

  • 整形外科診察(下肢:レントゲン結果の確認)


3月10日

  • 心エコー(心臓の超音波検査)


3月13日

  • 腹部エコー(肝臓、膵臓、腎臓の確認)

  • 体組成測定(退院前の数値確認)


3月14日

  • 血管エコー(血流および血管の健康状態を確認)




胃スリーブ手術前の食事制限プラン


胃スリーブ手術(スリーブ状胃切除術)に備え、手術リスクを減らすために肝臓を縮小させる厳しい食事制限がありました。最初は1,200キロカロリーの食事から始まり、徐々にカロリーを減らしながら、軟らかい食事から病院指定の流動食に切り替わりました。


病院では、アレルギーや宗教上の食事制限に対して非常に配慮があり、白パンか白ご飯のどちらかを選べることもありました。共有スペースにはトースターも設置されていました。私自身は玉ねぎアレルギーはありませんが、生の玉ねぎの味や食感が苦手で、最初の数日は生の玉ねぎ入りの食事が出てきた際に残していました。看護師さんがそれに気づき、アレルギーでなくても苦手な食材は事前に申請すれば対応してもらえると教えてくれました。手術前に食事の好みや制限は必ず病院へ伝えておきましょう。


術前食事制限スケジュール

  • 3月3日~5日軟らかい食事を1日3食(合計約1,200キロカロリー)

  • 3月6日~8日食事2回+夕食に食事療法用置換食品(メイバランス等)

  • 3月9日~10日朝食1回+昼食・夕食は食事療法用置換食品

  • 3月11日~手術当日まで食事療法用置換食品3回(合計約600キロカロリー)


退院後は、厳しい流動食中心の食事制限が続きました。許可されていたのは以下の飲み物です。

  • 病院指定の食事療法用置換食品

  • ブラックコーヒー



術前入院の持ち物リスト

手術前の入院期間に必要な持ち物をまとめました。病院によって異なる場合がありますが、私の経験をもとに準備すると快適に過ごせます。


  • 枕(自宅から持参) 病院の枕は小さくて薄いことが多いので、自分の枕を持っていくと寝やすいです。

  • パジャマ(ゆったりしたTシャツとウエストがゴムのパンツ) 最低4セット以上用意しましょう。

  • 洗濯用洗剤とコイン 病院のコインランドリーを利用する場合に必要です。

  • 下着、スポーツブラ、靴下

  • 室内履き(脱ぎ履きしやすいもの) 病院ではスリッパは使用できません。

  • 普段飲んでいる薬

  • タブレットやパソコンと充電器

  • 洗面用具(歯ブラシ、シャンプー、洗顔料、ローションなど)

  • 食器類(スプーン、ナイフ、フォーク、箸) 病院では基本的に提供されないので持参が必要です。




手術直前・手術当日・術後の入院生活ガイド

手術前

手術予定日の2日前に再入院しました。前回は6人部屋の大部屋でしたが、今回は個室料金を払わずに、患者が2人だけの半個室に案内されました。

レンタルの病院パジャマは私のサイズがなかったため利用を断りました。しかし、手術後は全ての患者が病院指定のガウンを着用する必要があります。支給されたガウンは私にはぴったりとは言えず、前はかろうじて閉まり、サイズが小さく窮屈でとても不快でした。普段は4Lから5Lサイズを着ています。トップスは腹部にアクセスしやすいよう前で結ぶタイプでしたが、ベッドではゆるく結び、毛布をかけて過ごしました。院内を歩く際は、自宅から持参したふわふわのガウンを着て快適に過ごしました。


手術が近づいていましたが、特に緊張することはなく、リラックスして十分な休息を取ることに集中していました。



手術当日

私の手術は午後に予定されていました。時間になると、手術フロアまで案内され、医師や看護師のチームに迎えられました。準備室に入ると、手術後の痛みを和らげるための硬膜外麻酔を受けるために、テーブルに座るように指示されました。


硬膜外麻酔とは、出産や下半身の手術でよく使われる強力な局所麻酔です。眠くなることはなく、腰から下の感覚だけを麻痺させます。背骨に針を刺して麻酔薬を注入します。


注射する場所は小さいのですが、正確な位置を見つけるのが難しく、私の場合は3回も挑戦されました。痛みもあり、不快でした。作業中は抱きしめるための枕を渡されました。最終的に無事に注入されました。


その後、横になるよう指示され、麻酔用のマスクが顔にかけられました。数回深呼吸すると、意識は遠のき、眠りに落ちました。 目が覚めたとき

次に覚えているのは、あまり良い記憶ではありません。手術から目が覚めたことや、自分の病室に戻されたことは覚えていません。覚えているのは、痛みでベッドの柵を強く握っていたことだけです。周りには人がいて話していましたが、私は完全に意識が戻っておらず、返事もできませんでした。もし何か話したとしても、それは覚えていません。ただ、痛みで大声で叫んでいたことだけは確かです。


医療チームは私に強力なフェンタニルの点滴をしていました。次に目が覚めたときは、ぼんやりとして混乱していました。時間も日付も全くわからず、正直その混乱がいつ消えたのかも分かりません。少なくとも2日は記憶が飛んでいるように感じますが、実際は数時間だったかもしれません。今でもはっきりとは分かっていません。


手術後の様子

完全に意識が戻り、自分の体の状態を少しずつ理解し始めました。手術中にカテーテルが挿入され、術後もそのまま装着されていましたが、手術から4日目に取り外されました。


医療チームは、私のサイズの大人用おむつがなかったため、体に大きなパッドをテープで固定していました。術後の入院期間中は一度も排便がありませんでした。手術前に液体食のみを摂っていたため、体内にはあまり排出すべきものがなかったからです。


腹部には5か所の切開跡があり、そのうちの一つは左側の一番外側にあり、そこからジャクソン・プラット(JP)ドレーンという排液用の管が伸びていました。これらのドレーンは体内の余分な液体を排出し、感染リスクを減らすために使われます。しかし、私の場合、このドレーンが術後数日間続く激しい痛みの原因となっていました。 謎の痛み

動くたびに、腹部に鋭い刺すような痛みが走りました。回復には痛みが伴うと分かっていましたが、これほどまでに辛くなるとは予想していませんでした。最も混乱したのは、その痛みが切開部の場所と全く合っていなかったことです。痛みは腹部の奥深く、まるでひどい生理痛のような場所にありました。しかし手術ではその部分には全く触れていません。なぜその場所から耐え難い痛みが生じるのか、理解できませんでした。


痛み止めを求めて何度も看護師さんを呼びました。少し体を動かすだけで痛みが再び激しくなり、吐き気を催すほどでした。


立って少し歩けるはずでしたが、痛みのために横になることさえも辛く、まるで子宮にナイフが刺さっているような感覚でした。誰も原因を説明できず、不安と痛みに苛まれました。

原因は排液チューブの位置だった

術後5日目、担当医が排液チューブを抜去しました。ゆっくりとチューブが引き抜かれていくと同時に、体中に一気に安堵感が広がり、それまで数日間苦しんでいた激しい痛みが一瞬で消え去りました。


その直後から、問題なく立ち上がって歩くことができるようになり、痛み止めを求めることもなくなりました。気分も軽くなり、ようやくぐっすり眠れるようになりました。


この時初めて、私の痛みが手術そのものだけによるものではなかったことが分かりました。感じていた骨盤の深い痛みは、決して気のせいではなかったのです。排液チューブは時に、神経に触れたり、体内の敏感な部分を圧迫したりして、鋭く刺すような痛みやズキズキする痛みを引き起こすことがあります。


もしこのようなことが起こり得ると事前に知っていれば、痛みの種類や位置をもっと具体的に医師に伝えられたかもしれません。そうすれば、チューブの位置を確認したり調整したりすることもできたかもしれません。しかし私は、自分が感じていた痛みの強さや違和感を十分に言葉で伝えられず、医療チームは通常の術後の痛みであり、私の痛みに対する耐性が低いだけだと判断してしまったのです。

術後の回復と退院後の生活

排液チューブを外したその日、私は自分の足で歩くことができました。翌日には自力でシャワーを浴びることができるようになりました。病院で支給されていたメイリープレイスメント(栄養補助飲料)はまだ受け付けられませんでしたが、水を少しずつ飲み始めました。その後1週間も経たないうちに、退院して自宅へ戻ることができました。


退院後の最初の1週間は、ベッドから起き上がるのにかなり苦労しました。腹筋が全く使えないような感覚で、仰向けにはなれるものの、そこから体をひねったり、起き上がったりすることができませんでした。幸いにも助けてくれる人がいたので何とか過ごせましたが、ひとりだったら本当にベッドから動けなかったと思います。


そのうちに、少しずつ動けるようになりました(最初はベッドから転がり落ちるようなコミカルな動きで立ち上がっていましたが…)。


術後2週間ほどは、1日に1本の置き換え食をゆっくり時間をかけて飲むのが精一杯でした。すぐにお腹がいっぱいになってしまい、なかなか量を摂ることができませんでした。マルチビタミンのサプリメントも飲み続けようとしましたが、胃が荒れて気分が悪くなり、何度か吐いてしまったため、この時期は一旦中止することにしました。


代わりに、砂糖不使用のヨーグルトや裏ごししたスープなどを少しずつ食事に取り入れていきました。


術後2週間が経った頃には仕事に復帰しました。体力はそこそこ戻っており、少し疲れやすくはありましたが、痛みはまったくありませんでした。腹部にある5カ所の切開痕はほとんど治っており、思ったより小さくて驚きました。医師たちの切開位置のセンスにも感心しました。


ただ1カ所だけ、ブラジャーのストラップがちょうど当たる場所に切開痕があり、そこだけ少し炎症を起こしていました。毎朝服を着る前に絆創膏を貼ることで、擦れを防ぎ快適に過ごすことができました。



術後の経過


体重の変化

  • 3月3日:99kg(術前ダイエット開始前)

  • 3月24日:手術実施日

  • 4月1日:92.2kg

  • 5月2日:84.1kg

  • 6月1日:79.2kg



胃スリーブ手術から3か月後の1日の食事内容

医師からの目標設定:水分 2リットル、たんぱく質 60~80g/日


朝:・ブラックコーヒー(1杯)・水分補給(常時)

昼食:・プロテインドリンク(たんぱく質 20g)

午後:・鶏肉または魚(たんぱく質 15~25g)・新鮮な野菜

夕食:・ギリシャヨーグルト(たんぱく質 10g)・果物・ビタミングミ

夜食:・ストリングチーズ(約10gのたんぱく質) または・フムス+赤ピーマンスライス(約20gのたんぱく質



胃スリーブ手術から3か月後の副作用について

幸いなことに、胃スリーブ手術の術後回復中に大きな副作用はほとんどありませんでした。ただし、いくつかの体調不良は「自分のミス」が原因でした。特に、食べるスピードが早すぎたり、しっかり噛まずに飲み込んでしまったときに、吐き気(術後の吐き気)を感じることが何度かありました。


また、マルチビタミン(術後サプリメント)も問題の一つです。食後に服用しても、一般的な錠剤タイプのマルチビタミンは胃を刺激しやすく、胃痛や胃の不快感を引き起こすことがありました。現在は、カロリーはやや増えますが、グミタイプのビタミン(グミサプリ)に切り替えています。こちらの方がはるかに飲みやすく、体にも合っています。


たんぱく質摂取量(術後のたんぱく質摂取)は毎日しっかり守っており、ビタミンサプリ(術後のビタミン補給)も多種類取り入れていますが、それでも術後3か月頃から抜け毛(術後の抜け毛、胃スリーブ抜け毛)が気になるようになってきました。これは胃スリーブ手術後によく見られる一般的な副作用のひとつで、現在は髪のボリュームの減少を実感しています。



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